
目が覚めた。
おつまみばかりで飯をちゃんと食べてなかったので、腹が減っている。
竹芝桟橋で買った船弁当を開く。
いくらと鮭のはらこ飯。
あまり小笠原っぽさはないが、鮭もいくらも好物なので幸せだ。

昨日は1日海を眺めて過ごしていたので、髪が塩でギシギシしている。
おがさわら丸には風呂はないが、代わりにシャワールームがある。
タオルはないので持ち込み必須だ。
シャワーを浴びて着替える。
まだ時間は深夜なので二度寝。
外が見えなければこのおが丸、ひたすらやることがない。
外洋に出てしまえば、スマホの電波も届かない。まだまだ時間はたっぷりとある。

アラームで目が覚めた。
そろそろ日の出の時間なので、外に出てみよう。
外洋に出たおがさわら丸は、ゆーらゆらと揺れている。
酒を飲んだあとのように足元はおぼつかない。
もう、酒は抜けてるよね?
転落防止のために、外に出れるのも後部デッキのみだ。
外がだんだん明るくなる。
日が昇るところは見られなかったけど、太平洋上の朝焼けだ。

そろそろ朝食の時間だ。
レストランのメニューを見てもあまりピンとこなかったので、売店でグラタンを注文。
その場でレンチンしてホカホカになる。それを持って後部デッキに。

後部デッキで海を眺めながら朝食だ。
どこまでも広がる海を眺めながらの朝食。
食べてるのは冷凍食品だけど、こんな贅沢な食事もなかなかないだろう。
しかし、結構潮が飛んでくる。ちょっと室内に戻ろうか。

Haha-jimaは昨日より席は空いていた。
アップルパイを注文して席を確保する。
ここなら潮に濡れずに海を眺めることができる。

アップルパイをつつきながら、海を眺める。
海が荒れているため、50分遅れて父島へ到着するらしい。
24時間の船旅が、24時間50分の船旅へ延長になる。
とはいえ、長かった船旅も終わりが近くなる。
丸1日船に乗るなんて、何度もできる経験じゃないだろう……
帰りも乗るんだけどね。

遠くに聟島列島が見えてきた。
聟島列島は小笠原の父島列島の手前にある列島。
小笠原到着まであと1時間と少し。
このあたりからスマホの電波が入るようになってくる。
昨日は18時頃から電波は入らなかったので、まさに16時間ぶりくらいの電波復帰だ。

おっと、忘れるところだった。
おがさわら丸の売店でおがさわら丸の御船印をゲット。
御船印帳に張り付ける糊と日付を入れるペンは、案内所で貸してくれる。

下船のために荷物をまとめてから再び外に出ると、父島はもう間近だった。
ここが最果ての地、日本で最も行くのが大変な場所、小笠原諸島。
緯度は沖縄と変わらない南の島らしく、空気は南国の香り。

おがさわら丸は父島二見桟橋へと入港する。
下船は上等船室から行われるので、自分は後半だ。
その分ゆっくり入港を眺めることができる。
港には各宿の迎えも来ている。もうすぐ24時間を越える船旅もおしまい。
そして小笠原諸島初上陸だ。