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復旧した線路、失われた線路

塩釜の海沿いを走る

仙台から仙石線に乗り、石巻へ向かう。
海沿いを走る仙石線も、震災の時に被害を受けた路線の一つ。
こちらは常磐線と違い、比較的早く復旧した路線だ。
仙石線も強風で遅れが発生していた。
単線なので、待ち合わせの時間も長い。
予定より大分遅れて、石巻駅に着いた。

石巻線
石巻線のディーゼル列車

石巻から石巻線に乗り換える。
仙石線は都会的な雰囲気だったが、ここから一気にローカル感あふれる風景になる。
田植え前の田んぼを眺めながら、石巻線で目指すは前谷地駅だ。

前谷地駅からBRTに乗り換え

前谷地駅で、いったん駅を出る。
駅前には立派に整備されたバス停。気仙沼線BRTの発着場だ。
このBRTも18きっぷで乗ることができる。
車両は普通の路線バスと同じ車両だが、席にUSBの充電器がある。
ありがたい、さっそく充電させてもらおう。

旧北上川沿いの道
川沿いの気持ちいい道を走る

バスは駅前の集落を抜けて、郊外へと出る。
気仙沼まで続いていた気仙沼線も、柳津駅で線路は断ち切られ、そこから先はBRTでしか行くことができない。
前谷地駅から出たBRTは、残された線路の区間を一気に飛ばして柳津駅までノンストップ。
柳津駅から、元気仙沼線の線路の上を走ることになる。

ココから気仙沼線の線路跡を走る。警告の看板が物々しい

柳津駅から気仙沼線の線路跡を舗装して作られた区間に入る。
震災後すぐに復旧された仙石線、2020年に復活できた常磐線と違い、
ここから先は鉄道での復旧を諦め、BRTとして整備されることになった区間になる。
この旅行をした時点ではこの区間は「鉄道」という扱いで運転されていたが、
2020年4月1日よりこの区間は「鉄道」としては廃止になり、「バス」として運転されることになった。

気仙沼線BRT
トンネル前では一旦停車するBRT

気仙沼線の線路跡をBRTは軽快に飛ばしていく。
だが、トンネル前で一旦停車。
信号が青になるのを待って、再び発進。
BRTのトンネルは狭く、バスではすれ違いができない大きさだ。
そのため、鉄道の単線区間のようにすれ違いスペースが設けられ、一定区間内にバスがいないことを確認してから発信するような仕組みになっている。

三陸の海
車窓に見える海が美しい

車窓には海が見える。
10年以上前、快速「南三陸」でもこんな美しい海を見ながら通り抜けた記憶がある。
だが、その海によって人々の命が奪われ、鉄路も失われた。

途中一般道を走る区間も

バスは途中一般道へも迂回する。
被害が激しかったエリアや、集落が高台へ移転したところは、一般道を経由する区間も多い。
一般道区間も綺麗な道が多く、BRTは順調に走る。
むしろ、BRTである必要があるのだろうか?
並行して南三陸道も走っていて、このあたりの道路事情はよい。
一定区間ですれ違いのために止まるBRTに、メリットはあるのだろうか?

気仙沼が近い 綺麗な湾が広がる

そろそろ日が暮れてきた。
気仙沼湾を眺めながら、BRTは気仙沼駅へと向かっていく。
地方部だとメリットが感じられない専用道だが、ある程度都市部に入ってくると信号待ちのわずらわしさが解消され、BRTのメリットが出てくる。

BRT気仙沼駅近く
線路と並走するBRT

気仙沼駅に近くなると、左側から線路が近づいてくる。
大船渡線の線路だ。
鉄道だったころ、ここは線路が並走する区間だったが、この通り一線分を潰してBRTの道路に置き換えられている。

気仙沼駅のBRT
気仙沼駅へ到着したBRT

BRTは線路と並走して、そのまま気仙沼駅へ滑り込む。
駅前に停留所のあった前谷地駅とは違い、気仙沼駅はもともと線路があったところをそのまま舗装してBRTの発着場にしている。
ホームを挟んだ向かいには列車が見える。
バスと列車が同じホームに並んでいる、少し奇妙な光景だ。

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